人前に出て挨拶をする、初対面の人に会う、というのは誰でも緊張を感じると思います。通常であればそれはごく自然なことなのですが、社交不安障害はその緊張や不安が強すぎるために、人からどのように見られているのかを必要以上に意識してしまう病気で、顔の紅潮や発汗、動悸、ふるえ、腹痛などの症状が現れてしまいます。このような症状がまた出てしまうのではないかという不安が、人が集まる場所を避けるようになり、学校や仕事などの社会生活に支障をきたすようになります。特にこの病気は思春期頃の発病が多く、この時期は受験や就職活動、恋愛や結婚など、人生にとって大切なことが多い時期です。例えば、「緊張が強く受験がうまくいかなかった」、「面接の時に自分を出し切れない」などと多くのチャンスを逃してしまう可能性があります。
社会に出ると苦手でも避けられない挨拶、発表、顧客の対応などの場面が多くなる中で、不安や緊張に耐えきれずに仕事への意欲を失い、うつ病になってしまう人も多いようです。
そうした人生に与える影響を出来るだけ早く取り除くためにも、自分はそういう性格だと諦めないで早めの受診をお勧めします。
まずは診察によって治療が必要な状態か否かを見極めます。治療が必要な場合はのみ薬による治療・対話による治療、が主体となります。
のみ薬としては抗不安薬と抗うつ薬を使う事が多いです。苦手な状況がごくたまにしかないという方の場合には苦手な状況の前だけに不安を緩和する薬を内服して対応することが多いです。薬の力を借りてでも苦手な場面を克服できたということは自信につながると思いますので、まずは薬を使いながらでも苦手な場面を克服して自信をつけていきます。そのようなことに薬は役立ちます。仕事をされていて常に緊張場面に遭遇して不安が強いという方の場合は抗うつ薬を使用することをお勧めすることもあります。「不安なのにどうして抗うつ薬なの?」と質問される方が多いですが、抗うつ薬には脳の中の不安を軽くする物質を増やす働きがあり、この作用から不安を取り除きます。
心理的側面から治療を図る治療法のことです。まずはきちんと診断をするためにお悩みをお聞きしたうえで、現在の悩みは何かポイントを絞りながら、個人個人の生活全体を把握していきます。診察による対話を重ね、一緒に考えながら、問題解決の方法を探していくお手伝いをします。社交不安障害の場合には苦手な状況に慣れていくことが重要です。段階的に小さなことから克服していき、達成感を得ながら目標に向かっていきます。例えば「大勢の前での発言はすごく緊張するけど、少人数での発言ならそこまで緊張しない」という方であれば、まずは少人数を前にした状況で慣れて自信をつけていくということです。基本的には無理せずに自分のペースで取り組むことが大切です。
のみ薬で症状が落ち着いたら不安や緊張を感じる場面に挑戦します。この段階では不安が強いと思いますが、最初はハードルの低いことから慣れ、徐々にハードルの高いことに挑戦します。不安が軽くなり健康な時と変わらない状態に戻った後も再発を予防するためにも半年から1年間は服薬を継続する必要があります。途中で服薬中断することによって症状がくすぶり治りが悪くなる場合もあるのでしっかり治すためにも服薬を継続することをお勧めします。
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